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<番外編>冷水先生の、一生ものの料理道具 パート2 - 朝日新聞社

料理家・冷水希三子(ひやみず・きみこ)さんが読者と私たち編集部のリクエストに応えて料理を作ってくれる連載「何食べたい?」。今回は前回も大好評だった冷水さんの愛用の台所道具を紹介する番外編をお届けします。道具が変われば日々の料理は格段に楽しく、おいしくなる。それぞれの道具の魅力と、それを使ったお料理についてお話を聞きました。

     ◇

―― 冷水先生、こんにちは。前回番外編として企画した「一生ものの、料理道具」ですが、読者の方々から続編を待ち望む声がたくさん届きまして。それにお応えしてパート2をやることにあいなりました!

冷水 それはうれしいですね。今回も張り切ってご紹介します!

―― 最近は家で過ごす時間が増えて、お料理をする機会も多くなったという方もいらっしゃると思います。中には毎日の料理が苦痛……というお嘆きもちらほら。

冷水 たしかに毎日3食作るのは慣れていないと大変ですからね……。そんなときは小さなものでも台所道具を新調してみると気分が変わっていいかもしれません。しかも使いやすくてお料理がよりおいしくなる道具なら、お料理をする時間も楽しくなるはずです。

―― 最初は……、せいろですか! たしかにこれは台所にあるとテンションが上がるアイテムのひとつですね。でもせいろってすごく安いものもあれば値が張るものもあって、正直何を基準に選べばいいかわからないです……。

冷水 たしかに値段はいろいろですねえ。私が使っているのは京都にある京金網屋さん「金網つじ」のものですが、決め手はなんといってもこの深さなんです。

<番外編>冷水先生の、一生ものの料理道具 パート2

サイズは各種あるので手持ちのお鍋の大きさに合わせて選んでください。蓋(ふた)は別売りです

―― あ、たしかに一般的なものより深い! せいろの深さなんて気にしたことがなかったです。

冷水 ほとんどの料理は一般的な深さのせいろで十分なんですけど、たとえば大きめの器で茶碗(わん)蒸しを蒸すときや、ボウルに牛スネ肉を入れてそのまま蒸してスープをとるときなどは、深さのあるものじゃないと入らないんです。

―― なるほど、以前冷やし中華を教えてもらったときにも、具材となる鶏肉をお皿にのせてせいろにINしましたよね!

<番外編>冷水先生の、一生ものの料理道具 パート2

お皿に鶏もも肉とネギ、しょうがなどの香味野菜をのせてそのまませいろに。蒸し汁をキープして使いたいときには深めのせいろが重宝します

冷水 そうそう、食材を蒸したときに出るおいしい蒸し汁はお料理に使わない手はないですからね。器ごとせいろに入れられる深さがあると、お料理の幅が広がると思いますよ。あとは素材も大切。これはヒノキの曲げ輪を使い、厚みもあって、しかも蓋は桜の皮でしっかり編んである。蒸気が外に漏れなくて、しっかり蒸しあがるんです。

―― 素材や厚み、編み方にも違いが! お値段の差はそういうところに反映されているんですね。

冷水 職人さんの手作りなので、不具合が出たら修理もしてくれますよ。少々お値段が張っても長く使えるので、いいと思いますよ~。

―― ふたつ目のコレは……ざるですか?

冷水 はい、正確には「盆ざる」と言います。

―― 「盆ざる」というと竹で編んだものを想像しますが、先生のはステンレスなんですね。

冷水 もちろん天然素材のものも使いますが、これはこれで使い勝手がいいんです。

<番外編>冷水先生の、一生ものの料理道具 パート2

ポイントは絶妙な網目の塩梅(あんばい)。取っ手がコンパクトなのも収納しやすくておすすめです

―― どんなときに使うんですか?

冷水 例えば蒸した野菜をこの上に置いて冷ましたり、揚げ物の油切りに使ったり。蒸気がこもらないので蒸し物は水っぽくなりませんし、揚げ物もべたっとせず、カラッと仕上がります。

―― 油揚げの油抜きや煮魚の霜降りなんかに使っても便利そう! ステンレスなのでお手入れも楽そうでいいですね。

冷水 そうそう、何かと活躍するんですよ。あと私はたまごサンドを作るときによく使います。

―― え!?

冷水 これ、網目が細かすぎず粗すぎず絶妙な感じで、ゆで卵を裏ごしするとほどよく空気を含んでふわふわの食感になるんです。

<番外編>冷水先生の、一生ものの料理道具 パート2

ゆで卵をぐっと押し付けて潰すとふわふわの食感に。マヨネーズとあえてたまごサンドの具にすると絶品です

―― たしかにゆで卵を包丁で刻むと白身の部分がちょっと粗くなりすぎますよね。こんな裏技があったなんて! たまごサンドのためだけに買うとなるとちょっとアレですけど、茹(ゆ)で野菜や揚げ物にも使えるなら毎日重宝しそうですね~。

冷水 ステンレスの盆ざるはいろいろなメーカーが作っていますが、オススメは取っ手部分が短くてリング状になっているもの。取っ手がコンパクトだと仕舞う場所を選ばないですし、リング状の部分をひっかけて収納することもできますから。

―― 収納に手間取る道具は結局使わなくなっちゃいますものね。これは耳寄り情報です!

―― そして最後は計量スプーンですね。これは調理道具の基本中の基本だと思いますが、どんなところにこだわりがあるんですか?

冷水 見ていただくとわかるとおり、これはスプーンの底面が平らになっていて、調理台に置いてもコロンと転がらないんです。

―― おおお~! たしかによくある計量スプーンはお椀型になっていますけど、これは底面が平らなうえ、持ち手部分が内側に折れてスタンドの役割になり、調理台に水平に置けるよう設計されていますね。

冷水 そう、これがなかなか優れもので、スパイスや調味料などをあらかじめ計量しておく場合も、調味料ボウルなどに移し替えず、スプーンのまま置いておけるんです。小さなことですが、すごくストレスが減るんですよ。

<番外編>冷水先生の、一生ものの料理道具 パート2

スプーンの底面が水平かつ、持ち手部分が支えになるので台の上に水平に置けます。スタッキングしたときの美しさも気持ちがいい!

―― いや~、これは発明ですね! 私は最近、スパイスカレー作りにハマっているのですが、これが2セットくらいあれば調味ボウルはもういりませんね。洗い物も減るし、ものすごく欲しいです!

冷水 お料理は段取りが命ですから、調理中にバタバタせずに済む道具はとてもありがたいですよね。とくにお料理に慣れていない方にはぜひオススメしたいアイテムです。

―― お料理スキルを道具でカバーするってことですね。調理中のストレスが減ればお料理も楽しくなるだろうし、すぐに実践してみます!

<番外編>冷水先生の、一生ものの料理道具 パート2

ステンレス製でサビにも強く、におい移りも少ないのがいい。シャープなデザインもすてきです

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(料理 冷水希三子 写真 関めぐみ 文 小林百合子)

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    冷水希三子(ひやみず・きみこ) 料理家

    <番外編>冷水先生の、一生ものの料理道具 パート2

    料理家・フードコーディネーター。レストランやカフェ勤務を経て独立。季節の食材を使ったやさしい味の料理が評判を呼び、雑誌や広告などで活躍中。器選びや盛り付けに至るまで、その料理の美しさでも注目を集めている。著書に『ONE PLATE OF SEASONS-四季の皿』(アノニマ・スタジオ)、『スープとパン』『さっと煮サラダ』(ともにグラフィック社)など。

    PROFILE

    • 小林百合子

      編集者
      1980年兵庫県生まれ。出版社勤務を経て独立。山岳や自然、動物、旅などにまつわる雑誌、書籍の編集を多く手がける。女性クリエイター8人から成る山登りと本づくりユニット〈ホシガラス山岳会〉発起人。著書に『最高の山ごはん』(パイ・インターナショナル)、『いきもの人生相談室』(山と溪谷社)、野川かさねとの共著に『山と山小屋』(平凡社)など。

    • 関めぐみ(写真)

      写真家。アメリカ、ワシントンDC生まれ。スポーツ誌、カルチャー誌、女性誌などで活躍。また、広告やカタログ、CDジャケット、俳優の写真集なども担当。書籍に『8月の写真館』『JAIPUR』など。

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