SiSの「Xabre 400」は、2002年4月に発表されたビデオチップだ。日本国内では、同年6月末に搭載製品が販売開始された。
2000年前後は多くのメーカーがビデオチップ市場に参加しており、まさに百花繚乱の時代。SiSはそのなかでもローエンド市場を中心に製品を展開していて、高い3D性能は不要というユーザーにとって選択肢の1つとなっていた。
とくに同社初のディスクリートビデオチップであった「SiS6326」は、DVDサポートといった良好なビデオ再生支援機能で注目を集めた。筆者は高校時代を中国の農村部で過ごしたが、友人が持っていたパソコンのビデオカードの大半がSiS6326であったのは、今でも記憶に新しい。
SiS6326の後継にあたる「SiS315」では、ローエンドでありながらながらハードウェアT&Lをサポートし、機能面でもNVIDIAとATI(当時)に追いついた。そしてその後継が、今回ご紹介するXabreシリーズである。
Xabreシリーズの特徴は、DirectX 8.1への対応である。DirectX 8.1では従来のDirectX 7のハードウェアT&Lに代わって、頂点処理を担うバーテックスシェーダと、テクスチャ/光源/後処理を担うピクセルシェーダに二分化されたのだが、Xabreではソフトウェアによるエミュレーションが可能でバーテックスシェーダを省いて、ピクセルシェーダのみを実装した。
これにより、DirectX 8.1対応ベンチマーク「3DMark 2001 SE」では、パッチを適用すれば、すべてのテスト項目をクリアできるようになったのである。
しかし、実際のDirectX 8.1対応アプリケーションでは、ピクセルシェーダはバーテックスシェーダの存在が前提となっていて、3DMark同様にパッチを当てないとXabre 400独自のDirectX 8.1に対応できない。果たして最終的にどのぐらいのゲームメーカーがXabre 400のためにパッチで対応をしたのか謎ではある。
さて今回ご紹介するXabre 400搭載ビデオカードは、以前に「HotHot REVIEW! by Ubiq Computing」でも使われたJoytech製の「Apollo Blade Monster」(興隆商事取り扱い)。今のハイエンドビデオカードからは想像できないほど部品の実装点数が少なくシンプルなのが印象的だ。
採用されているビデオメモリはSamsungの「K4D28163HD-TC40」で、これを表裏に4枚ずつ搭載している(合計128MB)。このチップ自体は128MbitのDDR SDRAMで、型番末尾の“40”からわかるとおり、Xabre 400がサポートする40ns品(250MHz)そのもの。バス幅は128bitなので、帯域は8GB/sとなっている。
カード上に見えるもう1つのSiSチップ「SiS301」は、セカンドディスプレイ(DVI)とTV出力を可能にするもの。そしてATMELの「AT498V512」はBIOSを格納するためのフラッシュだ。SiSはビデオ再生支援に力を入れていることもあってか、この価格でTV出力(S端子)を備えているのはさすがだろう。
SiSはXabre以降、グラフィックス部門を分社化してXGIを発足。コンシューマ向けの「Volari」シリーズを投入したが、ほぼ不発に終わり、以降のGPUはほぼサーバー向けに特化したものとなっている。
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