Appleが9月18日、第8世代の「iPad」を発売しました。NTTドコモ、au(KDDIと沖縄セルラー電話)、ソフトバンクも、9月23日にWi-Fi+Celluar(モバイル通信対応)モデルの販売を開始します。
一見すると、2019年に発売された第7世代モデルと大きな違いはないように見えるのですが、何が変わったのでしょうか。どちらを買うべきなのでしょうか。チェックしてみましょう。
一番の変更点は「プロセッサ」
第8世代のiPadにおいて、一番大きな変更点はデータの処理や画面(ディスプレイ)への描画を担う「プロセッサ」にあります。
第7世代、そしてさらに先代の第6世代のiPad(2018年モデル)のプロセッサは「A10 Fusionチップ」でした。2017年に発売された「iPhone 7」や「iPhone 7 Plus」と同じプロセッサです。
A10 Fusionは当時のスマートフォンやタブレット用のプロセッサとしては非常に高性能で、第7世代のiPadが発表された際にも「(米国で)売上トップのWindows PCと比べて最大2倍の処理性能を誇」るとアピールされました。事実、2020年現在においてもタブレット用プロセッサとしては十分なパフォーマンスを発揮できます。
それに対して、第8世代iPadではプロセッサが「A12 Bionicチップ」に変更されました。2018年に発売された「iPhone XS」「iPhone XS Max」「iPhone XR」などと同じプロセッサです。
A12 Bionicは、機械学習の処理に特化した「ニューラルエンジン」を搭載しています。そのため、AR(拡張現実)アプリ、クリエイティブアプリなど、機械学習ベースのAI(人工知能)を利用するアプリでは、処理速度の大幅向上が期待できます。Appleは「(米国で)最も売れているWindows PCより最大2倍、最も売れているAndroidタブレットより最大3倍、最も売れているChromebookより最大6倍も高速」とアピールしています。
GPU部分(グラフィックス)の性能もA10 Fusion比で2倍に引き上げられているので、ゲームアプリの快適さも増します。
本体サイズやカラーは変わらず 重量は“微増”
第8世代のiPadの本体サイズと設定カラーは、第7世代と変わりません。具体的なサイズは約174.1(幅)×250.6(高さ)×7.5(高さ)mmで、カラーはシルバー、スペースグレイ、ゴールドの3つを取りそろえています。パッと見ではどちらがどちらか判別が付かないと思います。
ただし、重量には少し変化があります。第7世代ではWi-Fiモデルが約483g、Wi-Fi+Celluarモデルが約493gでしたが、第8世代はWi-Fiモデルが約490g、Wi-Fi+Celluarモデルが約495gと少し増えました。プロセッサの強化に伴い、それを冷やすための機構の分だけ重たくなったものと思われます。
とはいえ、重さの差はWi-Fiモデルで7gほど、Wi-Fi+Celluarモデルで2gほどしかないため、手に取った時の重量差は感じられないと思われます。
第8世代と第7世代、どちらを選ぶ?
第8世代iPadと第7世代iPadの違いは、大きく見るとプロセッサの違いのみということになります。本体カバーを兼ねる「Smart Keyboard」や、専用のペン「Apple Pencil(第1世代)」など、多くのApple純正オプションは両世代で共通です。Apple以外のサードパーティー製の周辺機器も同様です。
なお、両世代は一部の周辺機器を「iPad Pro(10.5インチ)」や「iPad Air(第3世代)」とも共有できます。家族がiPadを持っている場合、共有できる周辺機器があれば、その購入費用を節約できるかもしれません。
カメラのスペック、ストレージ容量のラインアップ(32GBと128GB)など、その他の要素も変わりありません。発売時のApple直販価格も両者に差はありません。違いはプロセッサと、LightningケーブルとACアダプターが「USB Type-C」接続に変更されたことだけです。
「なら、断然新モデルがおすすめでしょ?」と思われるかもしれませんが、そうとも言いきれません。家電量販店などでは旧モデル(第7世代)の値引き販売が行われる可能性が高いからです。
お手頃感をより重視する人は、第7世代のセールを狙うのも“あり”です。
「Wi-Fiモデル」と「Celluarモデル」なら、どちらがいい?
iPadシリーズには、Wi-Fi(無線LAN)とBluetooth通信に対応する「Wi-Fiモデル」と、これらに加えて携帯電話ネットワークでの通信にも対応する「Wi-Fi+Celluarモデル」が用意されています。
Appleの直販価格をベースとする場合、Wi-Fi+CelluarモデルはWi-Fiモデルの1万2000円(税別)増しです。単純に価格を重視するならWi-Fiモデルがおすすめ……といきたい所ですが、そうも言いきれない面もあります。
その理由は、Wi-FiモデルとWi-Fi+Celluarモデルで扱える位置情報の「ソース(根拠)」の差にあります。
- Wi-Fiモデル:デジタルコンパス+Bluetoothビーコン+Wi-Fiアクセスポイント
- Wi-Fi+Celluarモデル:デジタルコンパス+Bluetoothビーコン+Wi-Fiアクセスポイント+携帯電話ネットワークの位置情報(※1)+人工衛星(GPS/GNSS)による位置情報
(※1)通信できるSIMカード(eSIMを含む)を挿入している場合に限ります
Wi-Fi+Celluarモデルにのみ、より正確な位置情報を取得できるハードウェアが搭載されています。地図やナビゲーションをするアプリを多用するなら、Wi-Fi+Celluarモデルの購入を強くおすすめします。測位データを使うゲーム、例えば「Pokemon GO(ポケモンGO)」などをプレイする場合も、Wi-Fi+Celluarモデルの方が良いでしょう(※2)。
(※2)測位機能を利用するアプリのうち、GPS/GNSSの利用を必須とするものは、Wi-Fiモデルでは正常に起動しないか、起動しても意図した通りに動作しない恐れがあります
その他、Wi-Fi+Celluarモデルでは他のWi-Fiデバイスとネット接続を共有する「テザリング(インターネット共有)」も利用できます。万が一の場合はルーター代わりに使うことも可能です。
見方を変えると、測位機能やテザリング機能が不要なら、手頃なWi-Fiモデルもおすすめです。また、背面の「仕上げ」の美しさを重視する人にも、Wi-Fiモデルをおすすめします。
「販路」にも注意
Wi-FiモデルとWi-Fi+Celluarモデルは、購入できる場所(販路)が一部異なります。
- Wi-Fiモデル:Apple直販(Webと店頭)、Apple製品を取り扱う量販店、ソフトバンクショップ
- Wi-Fi+Celluarモデル:Apple直販(Webと店頭)、携帯電話事業者のiPad取扱店(家電量販店を含む)
Wi-Fi+CelluarモデルをApple直販で購入する最大のメリットは、携帯電話事業者(キャリア)の制限がない「SIMロックフリー」の状態で販売されることにあります(※3)。既に手元にSIMカードがある場合など、キャリアの契約に縛られたくない場合は特におすすめです。
なお、SIMロックフリーのWi-Fi+CelluarモデルはApple製品を取り扱う量販店の“ごく一部”の店舗でも購入できます(全ての店舗ではありません)。ビックカメラやヨドバシカメラではWeb通販でも取り扱っています。
(※3)Apple直営の実店舗ではキャリア(NTTドコモ、au、ソフトバンク)の契約を伴う購入にも対応しています。この場合は各キャリアが提供する分割払いなど、キャリア独自の販売プログラムやキャンペーンも適用できます(一部例外あり)
こちらの記事もチェック!
からの記事と詳細
https://ift.tt/3cjLjTd
科学&テクノロジー
Bagikan Berita Ini
0 Response to "第8世代の「iPad」は何が変わった? ポイントをチェック【比較】 - ITmedia"
Post a Comment