アフリカ以外で最古の矢尻、森の小動物を狩るための技術革新
スリランカ南西部のジャングルに覆われたファヒエン・レナ洞窟からは、これまでに驚くべき太古の道具類が発見されている。中には、人類が熱帯雨林で使用した最初期のサバイバル用品と見られる道具も含まれている。 写真:今回見つかった太古の矢尻、サルの歯でできたキリ 見つかった遺物は4万8000年前から4000年前に作られたもので、骨製の矢尻130個のほか、袋や衣服を作るための骨製の道具29個、装飾用のビーズ数個が含まれる。最新の研究では、アフリカ以外で弓矢の道具が用いられた証拠としては最古のものであることが示された。 発掘を行った考古学者らによれば、人間がこの洞窟に住んだ時期は4回あり、出土品は各時期に分けられる。中でも、矢尻や錐(きり)のような道具は、4回のうち最も古い時期から登場している。また、発見された物品のうち30個については放射性炭素を用いた年代測定を実施、時代を経て道具が高度化していった様子が明らかになった。 「ほとんどの道具がサルの骨で作られており、その多くは慎重に矢尻の形に削られたようです」と話すのは、オーストラリア、グリフィス大学の考古学者ミシェル・ラングリー氏だ。氏が率いた今回の研究の成果は、6月12日付の学術誌「Science Advances」に発表された。 「槍(やり)の穂先としては大きさや重さが足りません。勢いをつけるには、ある程度の重さが必要ですから。逆に吹き矢としては重すぎるし、鈍すぎます」 矢尻には、矢柄に取り付けられていた形跡や、何かに当たったときにできたのであろう小さなひびが残っている。矢を射るのに使われた弓は、腐敗しやすい植物で作られていたため、現代までは残らなかったのだろうとラングリー氏は推測する。しかし、現代まで保存された骨製の道具類は、人間が初めて熱帯雨林に足を踏み入れた頃の様子を明らかにしてくれる。
新しい居住地、熱帯雨林への適応
現生人類(ホモ・サピエンス)がアフリカ大陸を出る一番大きな波が訪れたのは、約6万年前と考えられている。だが、20万~10万年前にはすでに小規模な移動が始まっており、世界のかなりの部分に拡散していたとみられる。8万5000年前までにアラビア半島に至り、約7万年前に東南アジア、6万5000年前にはオーストラリアにまで到達していた。 その途中で人類は、極寒のシベリア北極圏から標高の高いチベット高原まで、さまざまな厳しい環境に直面し、適応していった。南アジアに移り住むと、そこには熱帯雨林という恐ろしい居住環境が待ち構えていた。植物が密生し、獲物は捕まえにくく、昆虫がつきまとい、捕食動物が森に潜んでいるという、人間が生き延びるのには困難な場所だった。 現生人類は、南アジアの海岸沿いを進んで約4万8000年前にスリランカに到達したようだが、すぐに密林に分け入ったわけではなかった。「最初にこの島にやって来た人びとは、おそらく海岸沿いで生活したと考えられます」と、ファヒエン・レナ洞窟やその周辺で数々の発掘を率いたスリランカ、スリジャヤワルダナプラ大学の考古学者オシャン・ウェダゲ氏は述べている。「しかし、人口が増加するにつれ、その子孫の一部が熱帯雨林に移動していったのでしょう」 この新たな環境に適応するため、重要な技術革新が必要になったはずだ。「平原にいた人間は、群れで暮らす大型動物を容易に見つけて狩ることができました」とラングリー氏は説明する。「しかし熱帯林では、獲物の多くは非常にすばしこく、高い木の上にすんでいるものもいます。森でサルやリスを捕らえるのに槍はあまり役に立ちません。速く、高く飛ばせる道具が必要です。そのような環境では、弓矢は理想的です」。また、そうして捕らえたサルの骨が、新しい矢尻を作るための優れた材料になった。 別の目的に使われたと思われる骨製の道具もある。「ある平らな骨のかけらは、網を作ったり直したりするときに糸を通すのに使う杼(ひ)によく似ています」とラングリー氏は言う。これは海岸だけでなく、内陸部の川沿いでも役に立っただろう。また別の道具は、革や植物の繊維を加工するために使われたもののように見える。袋か、あるいは衣服を作っていたのかもしれない。「熱帯雨林では、体を温めるための衣服はあまり必要ありませんが、虫や草木によるけがから肌を守るために役立った可能性があります」とウェダゲ氏は説明する。 オーストラリア、シドニー大学の考古学者で、人類初期の服飾の歴史を研究するイアン・ギリガン氏は、この時代にスリランカで衣服が作られていたとしても驚くには当たらないと話す。例えば、衣類につくコロモジラミの遺伝学的証拠からは、アフリカのホモ・サピエンスが17万年前にも衣服を着ていたことが示唆されるという。 「服を着ることが定着するにつれ、衣服が社会的機能を帯びるようになり、今度はそれが、多くの地域で服を着る主な理由になっていったことは疑いありません」とギリガン氏は話す。 衣服やビーズのような文化遺物は、社会集団を結束させ、人間がほぼすべての環境で生きられるようになるのに役立ったのかもしれない。機転のきく人が思いついたこの新たな道具は、他の人に伝えられ、世代を超えて受け継がれ、改良されていったのだろう。
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June 16, 2020 at 03:37PM
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