トランプ米大統領は8日、黒人男性暴行死事件を巡る全米デモの一部参加者が「警察予算の廃止」を要求しているのを念頭に「平穏な生活を保障している警察の解体は許さない」と批判した。11月の大統領選をにらみ、デモが極端な主張を掲げていると攻撃し、保守派の支持を固め穏健派を切り崩す狙いとみられる。

トランプ氏はホワイトハウスでの司法当局幹部を集めた会合の冒頭、警察について「最近あったようなひどい事件も起きるが、99パーセントは偉大な人々だ」と指摘。ただ、デモ参加者が求める黒人差別解消に向けた警察改革の具体策は示さず、記者の質問も受け付けなかった。

野党民主党内では左派や若者らが警察予算の廃止を支持している。だが、大統領選で候補指名獲得が確定したバイデン前副大統領の選対本部の広報担当者は8日、声明で「バイデン氏は警察予算を廃止すべきだとは思っていない」と表明。黒人差別解消には警察の訓練を含めた施策を充実させるべきだと訴えた。(共同)