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マウスにもまだやるべきことが残っていた - PC Watch

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 ロジクールがモバイルマウスのフラグシップを3年ぶりにリニューアル、「MX Anywhere 3 コンパクト パフォーマンスマウス」を発売した。

 デスクトップ用の「MX MASTER 3」登場からはほぼ1年だが、99gの軽量さとコンパクトさが魅力のモバイルマウスへの展開で、さらなる進化がうれしい。

マウスとパッド、どっち派?

 ポインティングデバイスの好みには、スライドパッド派とマウス派がある。どちらの言い分にも一理あっておもしろいが個人的にはマウス派だ。それはWindowsのデスクトップがウィンドウをオーバーラップして使うことを前提にしているからだ。

 ウィンドウは、アプリごとに使いやすいサイズというのが決まっている。たとえば、今ぼくが使っているデスクトップのサイズとスケーリング環境では、この記事が掲載されているウィンドウが横1,185ピクセルを下回ると、ブラウザのウィンドウに横スクロールバーが表示される。

 また、フルスクリーン表示などそれ以上の横幅を持たせて表示してもグレーの余白が両側に表示されるだけで意味がない。フルHDの場合なら、デスクトップの横幅は1,920ピクセルなので、無駄のないように調節した横幅のウィンドウの脇には4割程度のスペースができる。そのスペースを放置するのはもったいないので、ほかのアプリのウィンドウを表示しておいたりするわけだ。

 残る横幅は800ピクセルに満たない。なかなかどうして、その幅にちょうどいいアプリというのがない。ウィンドウの表示については、ウィンドウを隙間なく並べるタイル表示と重ねて並べるオーバーラップ表示があるが、タイル表示で最適なデスクトップを使いやすいように構成するには、相当広いデスクトップが必要になる。

 その結果、デスクトップにオーバーラップでウィンドウを並べるときには、とりあえず全部のウィンドウを最適なサイズで表示させておき、一部が重なり合った状態にしておくことになる。

 ここでやっかいなのが、あるウィンドウの後ろにあって一部しか見えていないウィンドウの操作だ。今、アクティブな作業中のウィンドウはそのままに背後のウィンドウをスクロールしたいという場面は、かなりの頻度で発生する。

 ところがウィンドウをスクロールするためには、そのウィンドウをアクティブにしなければならない。アクティブにすると、前面にあった作業中のウィンドウは後ろに隠れてしまう。でも、マウスがあれば一部が隠れているウィンドウでも、それをアクティブにしないでスクロールができる。これがマウスを使う一番の理由だ。

 スライドパッドでの2本指スクロールジェスチャーなどでも同様のことはできるのだが、どうしても誤動作が多くなり、予期せず背面のウィンドウが前面に出てきたりしてストレスがたまる。

 その点では必ずアクティブにしないとウィンドウ操作ができず、ホバーの機能も使えないタッチなどは論外ということにもなる。これからのパソコンにタッチは必須だと思うが、この点だけは何とかならないかと思う。

 だからこそ、所定の作業部屋でも、リビングでも、モバイルでも使いやすいマウスが欲しい。ロジークールのMXシリーズはハイエンドマウスとしていつも期待を裏切らないできた。たかがマウスに、これ以上何が必要なのかと思いきや、つねに新しい提案を提示してきた。今回もそうだ。

期待を裏切らない新機能の提案

 新しくなった「MX Anywhere 3」の特徴は数多い。デスクトップ版の「MX MASTER 3」の特徴をコンパクトな筐体内に実装して引き継ぎつつ、さまざまなところに手が入っている。

 おもしろいのは、サイドボタンの自動切り替え機能だ。一般的に、サイドボタンは「戻る」と「進む」のために使う。だが、ユーティリティのOptionsは、ここに手を入れ、そのとき使っているアプリに応じてサイドボタンの機能を切り替えられるようにした。

 ボタンごとの機能切り替えは以前から提供されていたものだが、新たにオンライン会議でよく使われるZoomやTeamsのプロファイルが追加され、それが使われていることが検知された場合は、進むボタンを押すとビデオのミュート、ミュート解除のトグル、戻るボタンを押すとマイクのミュート、ミュート解除のトグルとなる。これは便利だ。

 使っているアプリがMicrosoft Officeの一連のアプリ、AdobeのPremiere ProやPhotoshopの場合は、やり直しと元に戻すとして機能する。

 そして、これらの割り当ては、デフォルト設定以外に、アプリごとに任意の機能に設定できるようになっている。アプリごとに割り当てできる機能は異なるが、どのアプリも特定のキーストロークを割り当てできるので、ショートカットを設定しておけば、実質的にさまざま機能を割り当てできるということになる。

 つまり、同じマウスを使っているのに、手のひらのなかに包み込んだままで、アプリごとに、各ボタンを押して何が起こるかを決めておけるのだ。ちなみにこの機能は、ユーティリティのOptionsによって提供されるもので、新バージョンの提供とともにデスクトップ版の「MX MASTER 3」でも利用できるようになった。

 「MX MASTER 3」でできなかったのに、「MX Anywhere 3」だけに実装されている興味深い機能は「スクロールの力」の設定だ。この設定によってラチェットモード、つまりカリカリモードのホイール感触を自由にできる。

 カリカリをツルツル、ゴリゴリやグリグリと、その力を変えられる。もちろん、グンッと力強く回すと自動的にスルスルのフリースピンに切り替わる機能も実装された。先代まではホイールクリックで切り替えていた。この自動切り替えは無効にもできる。また、その副作用として、ミドルボタンクリックの機能も実装された。

 水平スクロールについてはサイドボタンのどちらかを押したままホイールを回転させればよくなった。以前のようにホイールを左右に傾けても水平スクロールになるが、ホイールの回転と組み合わせることで水平スクロールの速度が可変できる。

 サイドボタンを押してすぐ離したときには通常の戻るや進むとして機能し、押しっぱなしの状態を検知するように最適化されているようだ。広大なスプレッドシートを横方向にスクロールしたいとき便利なのはもちろん、小さな画面で動画編集をするようなときにも重宝する。

 こうして大振りなデスクトップ用の「MX MASTER 3」に匹敵する機能をコンパクトな筐体に詰め込み実装した結果、内部はギッシリなのだそうだ。

マウスはいつも清潔に

 歓迎したいのは両サイドのラバー素材がシリコンになって、加水分解を起こしてベタベタしてしまう懸念が解消されたところだ。マウスは長い時間手のひらのなかにあるだけに、その感触は重視したい。今回のアップデートで、地味ではあるが、とても大事な変更点だ。

 ちなみにパッケージは通常版とMac版があるが、ハードウェアとしてはまったく同じものだという。通常版はUSBレシーバと、Type-A to CのUSBケーブルが付属し、Mac版はType-C to CのUSBケーブルのみでレシーバは付属しない。

 USBレシーバ経由、2系統のBluetoothという3つのデバイスをボタン1つで切り替えられるのはどちらも同じで、価格も同一なので、それならレシーバが付属する通常版がオトクだ。

 通常版は色についてもグラファイト(黒)、ペイルグレー(白っぽいグレー)、ローズ(淡いピンク)の3色ある。Mac版はペイルグレーだけだ。

 レシーバはパソコン本体に装着して使うのはもちろん、Hubやドック、ディスプレイのUSB端子などに接続して使うときにも便利だ。いろいろな使い方に柔軟に対応できるので、レシーバはレシーバで確保しておくためにも通常版がよさそうだ。

 そう言えば、今のコロナ禍のもとでは、マウスをアルコールなどで清潔に保つようなことも普通に行なわれているだろうが、いつも手に握りしめられているマウスには皮脂もこびりついている可能性がある。抗菌マウスなども各社から発売されているようだが、基本はやはり掃除だ。こまめな掃除は怠らないようにしたい。

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