Research Press Release
Nature Communications
2020年7月1日
Climate change: Likelihood of UK temperatures exceeding 40°C increasing
英国で温室効果ガスの排出が続けば、2100年までに同国内で摂氏40度を超える最高気温が3.5~15年に1回観測されるようになると示唆するモデル研究に関する論文が、Nature Communications に掲載される。今回の論文では、英国(特に南東部)で人為起源の温室効果ガス排出によって極端な高温日が発生する確率が大きくなっており、今世紀末までに英国内の各地で摂氏30度、35度、40度を超える確率が大きくなることが報告されている。
西ヨーロッパは2019年に厳しい熱波に襲われ、英国では、ケンブリッジで観測史上最高気温の摂氏38.7度を記録した。このことから、気温が将来的に摂氏40度を超える可能性があるかという問題が提起されている。
今回、Nikolaos Christidisたちの研究チームは、一連のモデル実験を行って、高排出(RCP 8.5)シナリオと中排出(RCP 4.5)シナリオの下で、英国内の各地で極端な高温日が発生する確率の変化を推定した。その結果、さまざまな温度閾値を超える事象の頻度が、排出シナリオに強く依存して変化し、排出量が多くなると、こうした事象の発生頻度が高まる地域が拡大することが明らかになった。Christidisたちは、気温が摂氏35度を超える頻度が、特に南東部で高まっており、現在は5年に一度だが、21世紀末までに毎年一度となる可能性のあることを報告している。また、現在、英国北部の多くの地域で極端な高温日が発生することはまれだが、2100年までに、気温が摂氏30度を超える頻度が10年に一度となる可能性が高い。現在のところ、英国で摂氏40度以上になることは極めてまれであり、100~300年に一度の事象だと推定されている。これに対して、Christidisたちは、この頻度が、21世紀末までに、中排出シナリオの下では15年に一度、高排出シナリオの下では3.5年に一度となる可能性のあることを明らかにした。
doi:10.1038/s41467-020-16834-0
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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