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戦後民主主義のもろさを露呈した緊急事態宣言 - 日経ビジネス電子版

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新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐべく、安倍政権が4月8日、ついに緊急事態宣言を発出した。外出自粛と休業の要請の先に浮上する可能性があるのは罰則の問題だ。さらに、感染症に対する国際的な政策協調にどのような態度で臨むべきか。危機管理の専門家である福田充・日本大学危機管理学部教授と一緒に考える。

(聞き手 森 永輔)

(前回はこちら

都内の多くの百貨店が、食品売り場のみの営業となっている

後編は、緊急事態宣言に伴う措置の具体的な内容についてうかがいます。外出の自粛については効果も分かりやすいし、国民の間にも広くコンセンサスがあると思います。一方、休業要請はどうでしょう。暮らしと経済にかかる犠牲の大きさに照らして、感染拡大防止の効果が十分にありますか。

福田:これは究極の選択です。

 危機管理にはソフト管理戦略とハード管理戦略の2つがあります。ソフト管理戦略は普通の生活を続けつつ、危機を管理する手法。企業は通常通りに業務を続けるので、経済的ダメージは小さい。死者も出ますが、仕方がないと割り切る。現在、スウェーデンがソフト管理戦略を取っています。効果のほどはまだ判明していません。

福田 充(ふくだ・みつる)
日本大学教授 危機管理学部部次長。1969年、兵庫県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(政治学)。専門は危機管理学、リスクコミュニケーション、災害対策、テロ対策など。コロンビア大学客員研究員、日本大学法学部教授などを経て2016年より現職。内閣官房新型インフルエンザ等対策有識者会議委員など政府の有識者会議、委員会の委員多数。著書に『リスクコミュニケーションとメディア』(北樹出版)、『テロとインテリジェンス~覇権国家アメリカのジレンマ』(慶應義塾大学出版会)など。(写真:加藤 康)

 ハード管理戦略は中国・武漢のスタイルです。都市からの出入りはもちろん、家からの出入りも禁止する。仕事もすべて休みにする。これは経済的ダメージが大きいし、社会が破滅する危険すら伴います。その代わり、早く収束する可能性がある。中国が発信している情報がすべて正しいとは限りません。しかし、それでも収束に向かい、封鎖を解除することができました。

 このどちらを選択すべきなのか。大事なのは、選択に際しての考え方を平時に議論しておくことです。

 感染拡大の防止を最優先するという極端な前提を置くならば、中国・武漢のように完全封鎖するのが適切でしょう。日本も時間を無駄にすることなく、もっと早く緊急事態を宣言し、ハード戦略を取っていれば、もっと早く収束させることができたかもしれません。

 ただし、これができるのは中国が社会主義国だからです。日本に、これを可能にする法律はありません。

 今の日本は、ソフト管理戦略とハード管理戦略の中間のどこを落としどころとするか定まらず、うろうろしているように見えます。

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April 14, 2020 at 03:02AM
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