富国生命保険は2020年度の運用計画で、国債より高い利回りが得られる社債や、割安化した国内外の株式などを積み増す。新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした世界的な金利低下の中で、収益を確保するために信用リスクを取る。為替ヘッジ付き外国債券は投資妙味が薄れたため、保有残高を減らす方針だ。
小野寺勇介財務企画部長は14日のインタビューで、社債などのクレジット物への投資により、利回りが極端に低下した主要国の国債を「安定的に上回るリターンを確保していきたい」と説明。ボラティリティーが高いが収益性では債券より優位なエクイティ資産にも自己資本リスクなどを管理しつつ、資金を配分していく考えを示した。
国内では極端な金利低迷が続くソブリン債の残高を今年度300億円減らす一方、クレジット物は200億円積み増す。円建て公社債の減少計画は6年連続。外債全体は横ばいとする計画だが、ヘッジ付き外債を600億円減らし、その償還金をオープン外債と外債投信に300億円ずつ振り分ける。一般貸付は100億円の純増。
株式等は国内で200億円、海外で500億円積み増す。安定的な家賃収入が得られる不動産も金利低下が一段と深刻化する中で相対的な妙味が増しているとして残高を300億円増やし、内外株式と不動産を合わせた資産は今年度1000億円増とする。
小野寺氏は、新型コロナの悪影響で実体経済は「少なくとも今年度前半、もしかしたら後半まで厳しい状況が続く」と言い、米株式相場が「二番底を伺う可能性は十分ある」と述べた。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)などの下支えで市場の底割れは回避でき、為替相場で極端な円高が進む可能性は低いと予想。今年度のドル・円相場は1ドル=95円-115円のレンジ相場とみている。
新型コロナによる相場変動の拡大は生命保険会社のような長期投資家にとってはチャンスともなり得るとし、調整局面に入っている社債相場で米欧の割安な優良銘柄を拾っていく方針だ。半面、ハイイールド債や新興国の債券投資は考えていないという。
小野寺氏は大型景気対策に伴う日本国債の増発については、日本銀行による金融緩和で資金がじゃぶじゃぶとしたうえで、「需給悪化懸念で金利が上がるならむしろ買いのチャンス」とみている。「40年物国債利回りが0.5%とかで慌てて買う理由はない。1%までは待っても良いのではないか」と指摘。米10年債利回りについても「せめて1%は上回ってほしい」と話した。
【富国生命保険:2020年度の運用計画一覧】
単位:億円 | 国内債 | 外債 | ヘッジ外債 | オープン外債 | 国内株 | 外国株 |
---|---|---|---|---|---|---|
▲100 | 0 | ▲600 | 300 | 200 | 500 |
【2020年度の金融環境見通し一覧:()内は19年度末の水準】
国内金利 (%) |
米国金利 (%) |
日経平均 (円) |
ダウ (ドル) |
ドル円 (円) |
ユーロ円 (円) |
|
---|---|---|---|---|---|---|
▲0.30~0.20 (0.0) |
0.30~1.70 (1.00) |
16000~23000 (21000) |
18000~27000 (24000) |
95~115 (108) |
105~130 (120) |
(第5段落以降を追加して更新します)
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April 14, 2020 at 10:00AM
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