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地球より古い70億年前の粒子、隕石から発見される - GIZMODO JAPAN

50年前の隕石が、太陽系の原初の歴史を語り始めた。

今から50年前の1969年、オーストラリア・ビクトリア州の小さな村に落ちてきた隕石に、70億年前の粒子が含まれていたことがわかりました。70億年前というと、地球ができるよりさらに25億年も前です。地球ができる前から宇宙にあった粒子ってだけでもわくわくするし、それがわかる技術もまたすごいんですが、さらにこの粒子の発見で、太陽系ができる前の銀河の状態までもが垣間見られるらしいんです。

発見された粒子は地球上もっとも古い個体

米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表された新たな論文では、50年前に落ちてきたマーチソン隕石に含まれる40個の古い粒子はいくつかの年代に分かれていて、新しいものは約50億年前、古いものは70億年前のものだとしています。論文を書いたのはシカゴ大学の天文学者、Philipp Heck氏らです。

これらの粒子はもともとは宇宙塵で、今地球上に存在して把握されている中で最古の固体だと考えられています。地球が形成されたのは45億年前とされているので、そこにあとから飛び込んできた50~70億年前のものは自動的に一番古い存在になるわけですね。

この発見は、太陽系形成以前の状態の証拠になるという意味ですごく重要です。実際これらの粒子は、すでに今までにない情報源となっていて、数十億年前の銀河系に星の「ベビーブーム」ともいうべき時期があったことを示したりもしてるそうです。

Heck氏もプレスリリースの中で、「今までに取り組んだ中でもっともエキサイティングな研究のひとつ」だと言っています。

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多くの宇宙塵を生み出している卵星雲
Image: ASA/ESA and The Hubble Heritage Team STScI/AURA

発見された宇宙塵の直径は赤血球と同じくらい

宇宙塵は星から生まれ、恒星風に乗って宇宙に飛んでいきます。これら小さな塵は最終的にはくっつきあって新たな恒星となったり、惑星や月、隕石になったりします(ちなみに人間も、この塵からできてます)。

地球上でこうした粒子はとても珍しく、隕石の中でも5%でしか発見されていません。しかもすごく小さく、シカゴ大学のプレスリリースによれば、「最大のものが100個あっても、この文の終わりのピリオドの大きさに収まる」くらいです。厳密には直径ほぼ8マイクロメートル、赤血球と同じくらいのサイズです。

太陽より古い宇宙塵の名称は「プレソーラー粒子」

この研究には参加していないフランスのCenter for Petrographic and Geochemical ResearchのDavid Bekaert氏いわく、我々の太陽より古い宇宙塵は「プレソーラー粒子」と呼ばれ、その一部が太陽系と同時期に形成されてきた天体に到達しているそうです。

「それが原始の隕石の中に存在することは、長いことわかってはいました」とBekaert氏。「しかしそれがどれくらい古いのか、それらが太陽系形成前の1回の星形成で生まれたものなのかどうかはわからないままでした。個々のプレソーラー粒子の年代を推定する、信頼できる手法がなかったためです」

隕石はクサいらしい

今回の研究のカギとなったのは、マーチンソン隕石にプレソーラー粒子がたくさん詰まっていたことと、その年代を推定する新たな手法が編み出されたことです。まず最初のステップは、粒子を分離することでした。

「最初は、隕石の破片をパウダー状に粉砕するところから始まります」この研究の共著者でフィールド自然史博物館とシカゴ大学の大学院生、Jennika Greer氏はプレスリリースで説明しています。「すべての粒子が分離されると、それはある種ペーストのようになり、刺激的な性質を帯びます。その匂いは、腐ったピーナツバターのようです」

隕石って、クサいんだ…。ともあれその香ばしい物質は酸で溶かされ、その後には数十のプレソーラー粒子が残ります。この粒子の年代を推定すべく、研究チームは粒子が宇宙線にさらされた度合いを計測しました。宇宙線は宇宙を突っ切っている高エネルギーの放射線で、固体をも浸透します。宇宙線に長くさらされると物質の中に新たな元素が生まれるので、彼らはその元素の量を調べることで粒子の年代を推定したのです。

46〜49億年前が星のベビーブーム

その結果、このプレソーラー粒子は非常に古く、そのイオンはかなりの宇宙線を吸収していました。多くは46~49億年前のものと推定されましたが、一部は56億年前、そしてもっとも古い粒子群は70億年前のものと推定されました。マーチソン隕石に含まれていた宇宙塵のすべてが、太陽系と太陽の形成より前からあるものという見立てになりました。

興味深いことに、この結果は銀河の中で星の形成が一定のペースで進んだのではないことも示しています。46~49億年前の粒子が多かったということは、これらの粒子は我々のいる天の川銀河での星のベビーブームともいうべき時期に形成されたということです。Heck氏は、このことが「我々の研究の主要な発見のひとつ」だと言います。

またこの研究で、プレソーラー粒子はしばしば宇宙の中を「グラノーラのように」固まって移動していることも明らかになりました。Heck氏いわく、「それがこんなスケールでできるとは、誰も思っていなかった」そうです。

今回の新たな手法で同じような古い隕石を調べれば、この発見の裏付けになるだけでなく、我々のいる太陽系や銀河系の成り立ち方がもっとわかっていくのかもしれませんね。さらなる発見が楽しみです!

Source: PNASUniversity of ChicagoNatural History Museum

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2020-02-07 13:00:00Z
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