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(46)食べる喜びのために おしゃれな道具を考案 - 中日新聞

患者の目線で開発したスプーンとフォーク

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 嚥下(えんげ)障害の人にも使いやすいスプーン、フォークをネット販売する株式会社猫舌堂(大阪市)の顧問になったという話を前々回、三月三日付で紹介しました。

 私たちが開発したスプーンは、平たくて小ぶりで幅が狭いのが特徴です。口に入りやすく、一さじですくえるのは誤嚥しにくい量にしてあります。唇がうまく動かなくても、こぼしたり、口元を汚したりする心配も減ります。

 フォークは先端が丸みを帯び、口の中を傷つけることなく安心して使えます。麺をすすれない患者も、ちょうどいい量を巻き取りやすく、口当たりもなめらかです。どちらもステンレス製で、新潟県燕市の専門メーカーさんに作っていただきました。

 私は、舌の切除手術後、食べ物を歯でかみ切り、口の奥に運んでのみ込むことがうまくできなくなりました。口内に移植した皮弁には感覚がないため、食事中のやけど、けがから感染症を引き起こす恐れもあります。そんな状況になって、今まで使っていたスプーンやフォークがとても大きくて不便だと感じ、外食用にプラスチック製の小さなスプーンや、食べ物を細かく切るはさみ(赤ちゃんの離乳食用のもの)を持ち歩いていました。フォークは合うものがなかったので、お箸で代用していました。パスタもケーキもお箸なので、店員さんの好奇の視線を感じることがよくありました。

 そんな体験を基に、腺様嚢胞がん(ACC)仲間の柴田敦巨(あつこ)社長とアイデアを出し合って試作しました。愛知県がんセンターで活動する患者会「つばめの会」に持参して、嚥下障害のある方たちにご意見をうかがい、スプーンの幅をさらに削ったほか、フォークの柄の太さ、手触りなど、修正を重ねました。

 食べやすい介護用などのものは既にありますが、こだわったのは「社会に溶け込むデザイン」。おしゃれで、家族みんなで使いたくなるものをと考えたのです。名前は「iisazy(イイサジー)」シリーズ。「いいさじ加減」から付けました。

 販売を始めたばかりですが、患者仲間以外からも、小さなお子さんがご飯を上手に食べられるようになった、介護施設のお年寄りに好評だったなどの反響をいただいています。ご関心のある方は、猫舌堂のホームページをぜひご覧ください。(荒井里奈)

    ◇

 あらい・りな 1974年生まれ。岐阜県在住。2015年に腺様嚢胞がん(ACC)で舌を切除。闘病とリハビリを続けている。昨年11月に中日新聞社から「舌はないけど がんと生きる」を出版。

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March 31, 2020 at 01:51PM
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