Point
■銀河ハローをすばる望遠鏡で観測することにより、初めて銀河系の境界を見極めることに成功した
■天の川銀河の最果ては銀河中心から半径52万光年の距離になる
■ハローに浮かぶ天体の状況から、天の川銀河が複数の小銀河の合体で形成されたことがわかってきた
銀河の最果てとは一体どこを指すのだろうか?
私たちの属する天の川銀河は一般的に半径5万光年ほどの大きさだといわれている。
銀河のほとんどの物質、恒星はこの領域に集中しているが、そんな銀河系円盤部の遥か外側にも、銀河系に所属する天体は広く分布しているのだ。
この過疎った銀河の辺境はハローと呼ばれており、非常に古い天体が含まれている。このハローを観測すれば銀河の初期の状況や、銀河形成の歴史に迫ることもできると言われている。
今回、そんなハローに浮かぶ古い天体の数々を観測し、天の川銀河の厳密な境界を見極めることに成功したという報告が発表された。
銀河の果てには何があるのだろうか? そしてどうやってそんな果てまでの距離を導き出すのだろうか?
この研究は東北大学、法政大学、東京大学、国立天文台などのメンバーからなる共同研究チームにより発表され、日本天文学会欧文研究報告(PASJ)に6月13日付けで掲載されている。
銀河系を取り囲む広大な辺境領域 ハローとは?
私たちがふだん銀河と呼んでいる領域は、銀河系全領域の中心部、もっとも星々で賑わう首都圏のような場所だけだ。
ここは銀河系円盤部と呼ばれていて、銀河を形作る超巨大ブラックホールを中心に、半径5万光年ほどの領域に銀河の物質のほとんどが集っている。太陽系も当然ここにあり、中心部からの距離は2万6千光年ほどだ。
しかし銀河系に所属する天体は、そのもっと遥か遠くまで分布している。そこには明るく輝く玉のような球団星団や、はぐれて浮かぶ古い星、そして未だ謎多きダーク・マターなど、様々な天体が銀河を包み込むように球状に広がっている。これをハローと呼ぶ。
ハローには年齢が120億年という、飛んでもない長老の星が10億近くいることがわかっており、銀河系の形成初期の状況を知る手がかりが多く残されていると言われている。
銀河の果てはどこなのか?
今回の観測では、そんなハローの端を調べるために、青色水平分枝星やこと座RR型変光星という星を利用している。
変光星を使った距離測定については、種類が違うがこちらで詳しく説明しているので、興味があれば確認して欲しい。
水平分枝星というのは、あまり聞き慣れない天体だが、これは星の色に関係なく、絶対等級という明るさが全て一定の恒星のことだ。星の色と明るさを比較した分布図にプロットした場合、水平に並ぶためにこのように呼ばれている。
青色水平分枝星は、太陽より質量が軽く年齢が古い星でヘリウムの核融合で輝いている星だ。
絶対等級が一致している天体というのは、見かけ上の明るさの違いで距離の違いを推定することができる。同じ水平分枝星で暗く見える天体というのは、地球からより遠いということだ。
こうした天体を観測していくことで、今回の研究では青色水平分枝星が52万光年を超えた場所から急激に減少していることを確認したという。
また、こと座RR変光星は今回のデータと比較すると、青色水平分枝星よりもっと手前の距離で減少しているため、ハローは銀河の内側と外側で形成の状況が異なっていることを示唆しているという。
天の川銀河は複数の銀河の合体でできた
今回の銀河系ハローに見られる星の分布は、天の川銀河が小さな銀河がいくつも合体を繰り返し壊れながら形成されていたことを示している。
また52万光年という距離までハローが広がっているという発見は、銀河系を包む暗黒物質の広がり(ダークハロー)に匹敵している考えられ、暗黒物質の理解にも重要な手がかりを与えてくれるのだ。
現在は別の遠い銀河、アンドロメダ銀河のハローについても研究が進んでおり、今回の観測結果と比較すると、アンドロメダ銀河は天の川銀河とは異なる過程で作られている可能性があるという。
銀河の果ては、年寄りの星だらけが集まる限界集落のような辺境だが、その分、年老いた星たちが古い宇宙の様子を教えてくれるようだ。
投稿 「銀河系の端」が初めて観測できたよ! 50万光年の最果てとは は ナゾロジー に最初に表示されました。
https://news.nicovideo.jp/watch/nw5527989
2019-06-22 03:00:38Z
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